ハンミョウ(ナミハンミョウ)

斑猫
甲虫目 オサムシ亜目 オサムシ科 ハンミョウ亜科
Sophiodela japonica
(Cicindela japonica, Cicindela chinensis)
触角や脚を含め、全身が赤、青、緑などに輝き、きわめて美しい。上翅には白紋がある。
平地〜低山地の林道上など、土が露出した地表で見られる。とくに、川や池などの水辺環境に近い開けた場所で見つかることが多い。
鋭い大顎を持ち、他の昆虫を捕らえて食べる。
成虫は、4〜10月に出現する。
幼虫および成虫で越冬する。
沖縄には、近縁種オキナワハンミョウ C. okinawana が生息するが、これを本種の亜種とする説もある。
ハンミョウ(白バック)
ハンミョウ(白バック)
飼育個体(京都府木津川市産) 2016.8.11
地表にとまっていると発見しにくいが、人が近づくとすぐに飛び立ち、数m先の地面に再びとまる。これをくりかえすので、俗に「みちおしえ(道教え)」「みちしるべ(道標)」などと呼ばれることもある。しつこくあとを追うと、先には行かずに道横に逃げ込んだり、後戻りする。
敏感なので写真に撮るのが難しいが、同じ個体を根気よく追い続けているとやがて動きが鈍くなり、シャッターチャンスが訪れることがある。近づく場合には、しゃがみ込むようにして背を低くし、焦らず、できるだけゆっくり進みたい。
地表にとまるハンミョウ
奈良県生駒市 2014.10.3
<ハイスピード動画>地表を歩き回るハンミョウ
大阪府四條畷市 2018.4.23
地表にとまるハンミョウ
大阪府枚方市 2014.5.23
地表にとまるハンミョウ
東京都八王子市裏高尾 2011.6.24
地表にとまるハンミョウ
東京都八王子市裏高尾 2011.6.24
落ち葉の積もった地表にとまるハンミョウ
大阪府枚方市 2015.6.4
青みが強い個体。
青みが強いハンミョウ
大阪府枚方市 2014.5.23
青みが強いハンミョウ
大阪府枚方市 2014.5.23
交尾するハンミョウのペア。オスが立派な大顎でメスをがっちりはさみこんでいる。
ハンミョウの交尾ペア
大阪府枚方市 2015.6.2
複雑な形状の交尾器が確認できる。
ハンミョウの交尾ペア
大阪府枚方市 2015.6.2
ハンミョウの生息環境(一例)。細流に沿って、雑木林と畑作地の間を縫うように小道が続く。ハンミョウは、このような、水辺の近くの土が露出した地表で活動することを好む。
ハンミョウの生息環境
大阪府枚方市
ハンミョウの幼虫(写真は、地中から掘り出したところ)。終令幼虫の体長は、23mm前後。齢数は3。頭部と前胸は黒色(写真の個体は、前胸に土がこびりついているため白く見えている)。腹部は乳白色で、淡褐色の斑紋が並ぶ。腹部背面に鉤状の突起をもつ。
川沿いなどの粘土質の地面に深い縦穴を掘って巣をつくり、その中に潜んで通りかかった他の昆虫を捕らえて食べる。
幼虫は、ほぼ1年中見られるが、夏の初めには、大きく育った終令が見つかる。
ハンミョウ幼虫
京都府木津川市 2016.6.17
ハンミョウの幼虫は、6対の単眼をもち、そのうち2対がとくに大きい。
ハンミョウ幼虫の頭部
京都府木津川市 2016.6.17
巣穴から顔をのぞかせ、獲物を待つハンミョウの幼虫。
穴から顔をのぞかせるハンミョウ幼虫
京都府木津川市 2016.6.17
獲物を待ち受ける幼虫は、人が近づくとすぐに穴の中に隠れてしまうので、姿を見ることは難しい。
この写真の下のほうに確認できる穴が、幼虫が内部にすっこんだ状態。円形に近いことで、アリの巣穴などと見分けることができる。息をひそめてしばらく待っていると、上のほうの穴のように、潜んでいた幼虫が顔をのぞかせる。
ハンミョウの幼虫の巣穴
京都府木津川市 2016.6.17
ハンミョウの幼虫の生息環境(一例)。渓流沿いの、土が露出した一角。とくに、橋の下など、雨がかかりにくい場所では、幼虫の巣穴が見つかる期待が高まる。
ハンミョウの幼虫の生息環境
京都府木津川市