冬場は、ふつうに考えると昆虫ウォッチングのオフシーズンですが、ある意味では昆虫観察に適した季節ともいえます。 
                   なぜなら、虫たちの越冬場所さえつきとめれば、なんなくたくさんの個体を見ることができるし、相手が動かないだけに写真撮影やスケッチも簡単だから。 
                   決定的瞬間や仕草のおもしろさを観察する醍醐味はないけれど、昆虫の姿そのものをしっかり目に焼きつけるには、とてもいい季節なのです。 
                   
                   とはいっても、真冬の昆虫観察は、人間にもキビしいし、見つけ出した昆虫もそのあとどうなるかが心配‥。 
                   
                   その点、ヒトにも虫にもやさしい気候になってくる早春は、『越冬中の昆虫を観察する』というテーマで、むし探検するのにうってつけの季節なのです。 
                   
                   ここでは、虫たちの越冬ポイントとなる代表的な場所を2つご紹介します。 
                   
                  ■ポイントその1 雑木林のワキの斜面 
                   
                   成虫で越冬するカメムシや甲虫の仲間は、石の下や地面の裂けめにひそんでいることが多く、そんな彼らを見つけるのに便利な場所は、林縁の道沿いの、土が露出したような斜面です。地中に半分埋まった石をはがしてみると、いろいろな種類を次々に発見できます。 
                   
                    
       なにげなく通りすぎてしまうこんな場所にも、たくさんの生きものがひそんでいる。 
       
                   石の下の土に部屋をつくって眠っていたヤコンオサムシ 
                     
                   
                   石の下側にへばりついていたツマジロカメムシ 
                    
                   
                   石の裂け目にひそんでいたコアシダカグモ(昆虫ではないけど‥) 
                   ※こんなのにめげててはダメダメ 
                    
                   
                   
                  ■ポイントその2 枯れた樹木 
                   枯れた樹木をたんねんにさがすと、甲虫の仲間がたくさん見られます。枯れ木の樹皮の下は成虫にとって快適な隠れ家になっていますし、その材は幼虫にとってのエサ場になっています。 
                   前項と同様、カメムシも多く、また、アリやシロアリの仲間のコロニーもよく見つかります。 
                   
                   アカマツの倒木の樹皮下にいたユミアシオオゴミムシダマシ 
                    
                   
                   コナラの樹皮下で集団越冬するヒメオビオオキノコムシ 
                    
                   
                   コナラの枯れ枝にいたハナムグリの幼虫 
                    
                   
                   アカマツの樹皮下で集団越冬するマルカメムシ 
                    
                   
                   枯れ木で見つけたクロオオアリのコロニー 
                    
                   
                   
                   (初出 「むし探検メール 創刊号」) 
                   
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