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      | File11 石砂山のギフチョウ(4月中旬)
 
 一年にたった一度、桜の咲く頃にだけ野山を舞うギフチョウ。
 近年は生息地が減って、その姿に出会うことは、とても難しくなっています。
 神奈川県相模原市の北縁に位置する石砂山は、首都圏に奇跡的に残された貴重な観察スポットです。この地では、県の天然記念物に指定されて採集が禁止されるとともに、生息地の環境保全も含めてトータルな保護がなされています。
 春の女神・ギフチョウの姿を求めてソメイヨシノの花びらが舞う篠原の里から、春の盛りの石砂山に登ってみました。
 
 
  
 石砂山の明るい尾根筋。落葉広葉樹の林が続きます。
 
 
 
   
 活動している昆虫の数は、まだあまり多くありませんが、注意するといろいろな虫たちの姿を見つけることができます。
 右:ヤニサシガメの幼虫
 左:クロタニガワカゲロウ?の亜成虫
 
 
 
   
   
 晴れ姿を競う春の花々。
 左上:キブシ 右上:マルバスミレ
 左下:キランソウ 右下:タチツボスミレ
 
 
 
   
   
 双翅目の仲間たちは、春先から元気いっぱいです。
 上左:蜂に擬態するケブカハチモドキハナバエ
 上右:オオハナアブ
 右下:ハリバエの一種
 左下:ガガンボの一種
 
 
 
  
 春にだけ現れるハマダラハルカ。地味ながらもオシャレな装いです。
 
 
 
   
 ちょっと異形の野草2種。
 左:ミミガタテンナンショウ 右:ヤブレガサ
 
 
 
  
 樹木の幹にいたウスチャジョウカイ。春風に触角をなびかせています。
 
 
 
   
 左:成虫のまま長い冬を越したヒオドシチョウ
 右:卵で越冬し、無事に孵化したヤブキリの幼虫
 
 
 
  
 黒と薄黄色の縞模様が印象的なギフチョウ。昔は「ダンダラチョウ」とも呼ばれました。
 
 
 
  
 地表のスミレで吸蜜するギフチョウ。翅の模様は、落ち葉にまぎれる保護色になっています。
 
 
 
   
 清楚系の春花2種。
 左:フデリンドウ 右:ヒトリシズカ
 
 
 
  
 石砂山山頂からの眺望。
 
 
 
  
 山頂近くの枝にとまったギフチョウ。明るい尾根筋には、風に乗って吹き上がってくるギフチョウたちが集います。
 
 
 
   
 ヤママユガの仲間、クスサンの置き土産二つ。
 左:俗にスカシダワラと呼ばれる空繭
 右:樹木の幹に産みつけられた卵塊
 
 
 
  
 セセリチョウの仲間には珍しく翅を水平に広げてとまるのが特徴のミヤマセセリ(オス)。
 ギフチョウと同じく、春にだけ見られます。
 
 
 
   
 左:吸蜜するミヤマセセリ(オス) 右:オスよりも美しいメス
 
 
 
  
 ギフチョウの発生地となっている、広葉樹がまばらに生えた明るい斜面。
 林床には、幼虫の食草であるカントウカンアオイが点々と見られます。
 
 
 
  
 カントウカンアオイに産卵するギフチョウ。落ち着かない様子で低空飛行を繰り返しながら適した場所を慎重に選んだあと、葉裏に一卵ずつ丁寧に産んでいきます。
 
 
 
   
 左:今、この世に出現したばかりの卵たち。
 右:別の葉にあった卵塊。直径1ミリほどですが、拡大してみると、真珠と見紛う輝きがあります。
 
 
 
  
 登山道の脇に咲いていたシュンラン(春蘭)。
 何かを誘いかけるような不思議な姿です。
 
 
 (初出 「むし探検メール No.69」)
 
 
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